BETA株式会社は、もともとwebメディア発祥でしたが、事業ドメインを完全に動画に移行することができました。
私たちにとっては大きなチャレンジでした。
webメディアの時ほどの粗利は出ていませんが、動画事業において私たちにできないことはCGやTVCMの制作など、かなり難易度の高いものに限られるレベルになってきています。
現在は動画広告の制作・運用が主な収益源で、これから動画メディア事業を収益化していくというフェーズに入っています。
会社にとってのラーニング・備忘録としても記録をしておきたいと思います。
はじめに言ってしまうと、あまりに偶然の占める割合が大きく、結果として満足いくものであったとしても、今振り返っても意図して狙えるものではありませんでした。
なぜ高収益の事業を譲渡するに至ったのか?
まずは、なぜ高粗利でポジションを築くことが出来ていたwebメディアのビジネスを譲渡するに至ったのかについて説明します。
まず第一に、私たちのリソースでは進化が見込めなかったからです。
ユーザーへの利便性から検索システムの導入など次のステップに進むにあたって、エンジニアリソースが足りませんでした。
かといって、webメディア事業のみを長期で行っているイメージがなく、エンジニアをwebメディアのために採用するのは経営判断として難しかったのです。
また、明確にSEOがドメインを重視していたことから、信用力・資本力・技術力ともに優れたところに運営をお願いしたほうが、メディアの発展にとってよりよいと考えていました。
偶然、素晴らしい譲渡先が見つかる
ありがたいことに、M&Aをしたいという問い合わせはメディア立ち上げの6カ月以降、SEOを半ば独占したことから、ひっきりなしに頂いていました。
とはいえ、ずっと譲渡先を探していたというわけではなく、たまたま見たメディアで、取引先経由で知っている上場会社の代表がM&Aを検討している旨を知り(この時点では知り合いではありませんでした)、Facebookで連絡を取り、デューデリジェンスなどを経て、6カ月ほどで譲渡に至りました。
ここで強調したいのは、東証一部企業の社長であっても、Facebookでしっかりと返信いただけるということです。
正直、狙ったものではなく、ここまでの流れは偶然の積み重ねのような動きでした。
事業譲渡前後で、譲渡後の準備は進めていたのか?
M&Aのデューデリジェンスや基本合意などが進むにつれて、いよいよ数カ月後には売上が立たなくなるということが明らかだったので、次のビジネスを何にしようか考えていました。
今度は同じwebメディアではなく、もっと新しい領域にチャレンジしてみたいと考え、いくつか候補を上げてみたものの、考えれば考えるほど、動画しかなかったのです。
webメディア事業は正直、ほぼ私一人で回っている仕事でしたが、今度はその時にいたメンバー全員でガッツリ取り組みたいと考えて、初めはかなり投資的な要素が強くても、より難しい事業を選定しました。
もちろん、足元かなり動画のニーズが伸びているのは実感していました。
動画事業に取り組んでみて
まったくの素人集団
動画と言えばYouTubeということで、はじめはチャンネルを立ち上げ、動画をアップすることからはじめました。
とはいえ、まったく知らないことだらけで、いろいろなサイトや本を調べては、Adobeの使い方を学ぶところから、ひとつひとつ、みんなで覚えていきました。
実際に動画を作ってみたものの、始めてから2カ月、3カ月は全く誰にも見られず(1日2再生とか)、チャンネル登録も50名くらい、うち20人くらいが知り合いというような状況でした。
課題を乗り越える
さらなる問題が浮上してきました。
それは、演者があまり話すのがうまくないという問題でした。
割と致命的で、なんとか動画の編集技術で乗り越えようと、そこから当社の技術革新の歴史がはじまっていきました。
新しい技法などを見つけては取り入れていった結果、1-2カ月後には、動画制作で作れないものは殆どないという状況に進化したのです。
新役員の加入
YouTubeのことがようやくわかりかけてきた2020年2月頃より、当時漫画チャンネルを運営していた加藤とYouTubeについて意見交換することが多くなり、『どうせなら一緒にやらないか?』ということで、東京から来てもらうことになりました。
もともと、代表・長沼の前職のインターン第2号ということで、一緒に仕事をした仲ではありましたが、なんとも不思議な縁でした。
漫画チャンネル自体はYouTubeのトレンドの流れもあり、すぐにクローズしてしまいましたが、動画事業に心強い仲間が加入しました。
本気で取り組んでいると道が開ける
ここまで、インターン生と二人三脚で試行錯誤してなんとか感覚をつかみかけていたところ、ちょうど動画に強いメンバーが加入し、一気にアクセルが加速したという感じの流れでした。
とはいえ、新しくチャレンジしたこと、あきらめなかったこと、常にアンテナやメンバーを探していたことなどが強く関係していることは言うまでもありません。
そこから、編集できるメンバーを増やし、質を上げつつ、量産できる体制を整えていきました。
広告領域への参入と撤退
さらに、動画技術が磨かれていくと同時に、広告事業への参入チャンスが大きいことが分かってきました。
その当時は漫画広告が全盛だったため、もともと漫画チャンネルを運営していたツテでこの領域がいけそうかもしれないことが分かってきました。
しかも、内部で作ってみたところ、それなりのものが出来たので、動画広告へ参入したのですが、激しい動画を作るクリエイターがいたために、漫画動画自体の印象が悪く、参入をすぐに取りやめました。
それから、VTuberのチャンネルを作ってみたり、リサーチを進めるなど、YouTubeのいろんな領域に首を突っ込んでは撤退していきました。
動画制作への参入と撤退
この制作リソースを活用すべく、受託をはじめようとLPを制作したり、動画でPRしていきましたが、どれもうまくいきませんでした。
これは、もともと単価勝負で収益性が高くないことが明白で、モチベーションが上がりづらかったという側面もあります。
とはいえ、頂いた仕事はしっかりと対応させていただきました。
再度、広告事業への参入とメディアの伸長
あらためて動画広告への参入を決意し、クリーンなクリエイティブで成果報酬の形で事業を進める意思決定を5月に行いました。
それから最適なASP探しや、いろいろなプロフェッショナルに話を聞いたりしたものの、新しい領域のためほとんど分かる人がいない状況で、Twitter経由などで偶然発見したASPと商談し、良い取引先が見つかり、今につながっています。
2カ月近く経ち、ようやく売上・利益ともに依然と比べればはるかに小さいですが、なんとか出るようになってきました。
また、特に4-7月に運営していたチャンネルが伸び、各方面から問い合わせをいただくようになり、晴れて8月より、営業活動を行っていくことが決まり、現在はその準備を進めている最中です。
先へ
たったの3ヶ月でしたが、とはいえ大きな変革が行われた3カ月でした。
その間の試行錯誤は、ここに書いた限りではなく、たくさんの失敗を重ねました。まったく意味が無かったような取り組みもしてきました。
とはいえ、それから3カ月、もう後戻りをすることは絶対にありません。webメディアに戻ることは決してないです。
チャンネルもその領域ではそれなりの位置に育ち、引き合いも頂くことが増えましたし、広告領域でもかなりの知見が溜まりました。
この武器を手に、新しい領域でしっかりと信用を積み重ねていきたいと思います。